現在議論されている道州制における新潟県の立場は、これからの新潟県の発展にとって最善であるとは言えません。先に述べたように、新潟県は多面的な魅力をもつため、画一的な道州制の導入には適合せず、現在提案されているどの道州案のなかでも新潟県の存在は付随的なものでしかありません。このような状況下、議論をおろそかにしたまま、道州制施行となってしまった場合、苦労するのは県民です。

 地方分権としての道州制が実現するためには、中央から地方へ、地方から自治体への権限の委譲が必要であります。しかしながら、「平成の大合併」の際に地方分権が掲げられたにも関わらず、権限、予算の委譲がされていない現状を見れば、道州制に向けて、新潟県が思い切った行動に出ることは難しいでしょう。
 しかし、このような現状であるからこそ、新潟県にとって最善の道州制とはどのような形なのか、またその形に向けて我々県民が何をしなければならないのか、今から議論する必要があります。周辺の県との密接な情報交換、コミュニケーションも必要でしょう。新潟県内のまちづくりも、道州制を見越せばそのかたちも行動も変わることでしょう。何もせず、新潟県が他の県の付随的な存在で終わることだけは避けるべきです。今こそ、我が新潟県の魅力を磨き中心となって、周辺の県に必要と言われるような存在になることが大切ではないかと考えます。

 そのためには地方への権限の移譲を進め、地方が力をつけ、新潟県の魅力を存分に発揮できる体制を作ることが必要なのです。更に地方とは、そこに住む民衆の総称ではないかと考えられます。行政に頼らず、民から官へ発信し続け自ら地方の魅力の発信を行うべきです。

 新潟県には、日本海側最大の政令指定都市である新潟市があります。更に貿易港としても新潟市、上越市に二つの港を有し、空路としては新潟空港、陸路としては、北陸新幹線及び上越新幹線の高速鉄道に加え、県内を縦断する在来線、そして北陸、関東、東北など各方面へ続く5本の高速自動車道を有しております。

 また、新潟県はこれまでもアジア・環日本海文化圏での貿易に力を入れており、先に述べた交通網がその土台となっております。

 道州制を日本国内だけの問題と捉えず大きな視点から見れば、新潟県内の公共交通網の連携を充実させることで、新潟県を含む新しい道・州が、アジア・環日本海文化圏の貿易をさらに発展させることが可能と思われます。

 上越新幹線の新潟空港への延伸、関越自動車道の山形方面への延伸、羽越線の高速化と新潟空港・新潟港との連携、新潟市から上越市へのミニ新幹線の開通(新潟県縦貫高速鉄道網)、これらの事業を行うことで、日本の中で新潟県をアジア・環日本海文化圏に必要不可欠なゲートウェイに成長させることが出来るのです。


 しかし、その反対に各方面に対して交通網が整備されているということは、新潟県からの流出も容易になるということがいえるのです。これをくい止めるには新潟県自体の魅力を強化する必要があり、さらに他県には無い魅力の発掘や創造が大切です。では、新潟県の魅力とは何が挙げられるでしょうか。これについては県民の大多数が思い浮かぶ白米など農業がこれに当たります。新潟県のコシヒカリの素晴らしさは、他県に出て食事を味わうとよく分かります。この農業の力を衰退させてはいけません。しかし、近年の温暖化などにより白米の適正な生産地域が北上しているといわれております。今後、新潟県の農業の存続を考える事は、新潟県の魅力の維持に繋がる必須事項といえます。また、他県に無い魅力の発掘や創造とはいえ、全くの無から始めたのではリスクが大きいと考えられます。そこで新潟県のもう一つの魅力である充実した交通網と港に注目してみます。
 新潟県の港を東京港・横浜港と比べると港の得意分野、特徴が現れております。輸入に関しては中国からの輸入で新潟港が活躍しておりますが、輸出に関してはそれぞれの得意分野が伸びております。しかし、東京港も中国への輸出入が第一位となっており、県外の企業の多くはアジアへの輸出であっても東京港や横浜港を利用するケースが通常であるのです。新潟県内の交通網が充実し、他県からの搬入も容易であるはずが、何故新潟港ではなく関東方面へ流れていくのでしょうか。これには首都への一極集中した様々な機関の問題が挙げられます。輸出入に関しては特に国の関係機関などの充実が図られる必要があるのではないでしょうか。地方分権により新潟県にも輸出入に関する関係機関が揃う事で更なる港や空港の発展・発達が望めるのです。このように交通網の充実や魅力の創造以外の要素を再検討することも、新潟県がアジアへのゲートウェイとして成長する鍵となるはずです。

 新潟県における道州制を考える前に、新潟県自体の魅力をさらに高めることも必要です。
 新潟県内全域から集まった当委員会の委員で議論した結果、以下のような連携事業が挙がりました。

交通網 上越新幹線を新潟空港まで延伸、そこより秋田方面へ進める。これにより日本海側東北地域の貿易拠点とすることが出来る他、東京都からアジアへ人の流れを増やす事ができアジア諸国との貿易都市として位置付けを強化する。上越新幹線(新潟市)と北陸新幹線(上越市)をミニ新幹線で繋げ、新潟港や新潟空港と北陸方面・関西方面の連携を強化する他、日本海側の今まで以上の連携強化と更なる流通を目指す事ができる。

観光地 県内全スキー場・温泉地(旅館)・海水浴場(浜茶屋・海の家組合)・ゴルフ場などそれぞれの単位で一つのHPを開設し、新潟県の山・新潟県の海など大きな纏まりを観光客にイメージ付け、そのホームページのQRコードをリフト券やチラシ・スコアカードなどに印刷することで、ピンポイントで目的意識のあるお客様にPRできる。
 このように新潟県全体で観光に取り組むことで、全国に向けて「観光地新潟県」をイメージ付けることができる。

学校 空き店舗などの利用に大学との連携を図ることで、学生に貸し付ける事への不安などを解消し、学校側としては現場実習の時間を得る事ができる。それぞれ特徴ある学科を有する学校が、それぞれの得意分野を発揮し店舗を運営する。教科書では体験できない生の情報を経験し学ぶ事で非常に有益な授業となる。学生同士の友好関係や地域とのコミュニケーションが深まり、地域密着型の学校経営が期待される。また、工業系の学校であれば企業との連携を持ち、企業は地元新潟県の学生のレベルアップに協力し、これからの求人に期待を寄せ、2010年問題の解決にも繋がってくる。
 また、企業と大学の合同プロジェクトが創設されるまで地域と学校とのコミュニケーションを深める事ができれば、地域の理解と学校の必要性を訴えることができ、少子化におけるこれからの学校経営においても活性化を図る事ができる。


飲食店 各市町村内の飲食店にて共同経営の店舗を開設する。その場には、それぞれの店舗からスタッフやメニューを送り込み、衣装や味付けをそのままに、実際に飲み・食べ・会話する事で、出身店舗をPRする事ができる。これを広告媒体として案内所のような役割を持たせ視聴覚では表現できない部分を出すことにより、内容の充実した広告ができるものとなる。横浜市にあるラーメン博物館のハーフメニューは類似した意味合いであると捉えられる。

託児所 新潟県内には託児所が少なすぎる問題がある。他の市町村にある託児所を利用しながら自分の時間を作っておられる家庭が多いことが分かった。各市町村の人口に見合った数の託児所を開設し、それらを連携し利用者に周知することで、長距離の移動に際しても出来るだけ子どもたちと一緒にいることができるようになる。また、現在問題視されている家庭・親子問題についても解決の一助となる。

環境 新潟県は海岸線が長く、そして緑多い県である事から、素晴らしい自然の新潟県らしい事業ができる。各自治体においてクリーンデーなど一斉清掃の日を決めているところも少なくない事から、それらを一日に集め、新潟県一斉清掃(Niigata Clean Day)を制定する。山・川・海の自然環境を守る活動を行い、国内をはじめ対岸諸国の環境に対しても示していく事ができる。

農水産業 魚・肉・野菜・果物の総合市場を設け、県内にて収穫・生産などされた農水産物を一堂に集め自治体を超えた連携を持ち、地場産物の県内消費を第一の目的とし県内の飲食店や食料品加工工場などにおける食材の均一化とレベルアップが図れ、新潟県でしか口に出来ない食材や料理を観光材料として保有・消費することにより、都会の市場へ1級品クラスの食材が流れる事を避け、新潟県での飲食に付加価値を付ける事で、新潟の魅力をアピールする事ができる。こうして出来た地場産物の加工品を各地の新潟県のPR施設や出張所などにて販売することで、県内の新たな産業や需要、求人などにも影響し、更には食の新潟を更に強固にイメージ付ける事ができる。
また、これにより経済圏拡大を図ったとしても安定供給の確保が約束され、農水産業の活性化に繋げる事ができる

スポーツ  アマチュアのスポーツ団体(少年野球チーム・少年サッカークラブなど)の新潟県への登録制を用い、登録されたクラブチームには、プロスポーツの観戦チケットを優遇することで、感性を養い、モチベーションと技術の向上が望める。これにより、県内のプロスポーツクラブを目指すアマチュアが増え、将来の日本のスポーツ界を支えると同時に、新潟県のスポーツ産業の発展にも寄与することとなる。


 以上のことから、建築業・サービス業・鉄鋼業、どんな業種であっても工夫次第で連携が取れ、売上・目的などに関係なく同じ土俵でPRすることができ、またサービスを受け、学ぶことができると考えられます。同業であれば、全体の底上げにもなることは必至であり、異業種であってもそれぞれが支えあって同じ目的に向かっていくことができます。そうすることが新潟県全体の底上げになり、新潟の力を光らせる第一歩となるのではないでしょうか。

   


社団法人日本青年会議所 北陸信越地区 新潟ブロック協議会  2007年度 アドバンス新潟創造委員会